一年半ぶりの千手が浜



明るくなって、目が覚めた。時計を見ると7時を回っている。良く寝たなぁ・・・。
トイレに行くのに車のドアを開けと、寒い。赤沼の駐車場はもう結構埋まっていて、隣にも車があった。そういえば、ここにテントを張って、起きたら周りが車だらけでテントの中から出られなかったことを思い出すなぁ・・。


まずは珈琲。
タバコを吸いながら朝の冷気を楽しむ。半袖で寝ていたのだが、この状態だと寒くてしかたがない、長袖を引っ張り出して着る。コンビニのサンドイッチを食べながらボーっと空を眺めていた。
良く晴れた空。
男体山も金精の山々も良く見えている。


リュックにあれこれ詰め込んで準備。歩こうと思っていたが、ぐずぐずしているうちにバスの時間が近づいたので、迷わずバスに乗ることにする。赤沼茶屋発8:00。


20分で千手が浜に到着。ずいぶん楽チンだ。湖畔まで歩き、どん〜と見えている男体山に挨拶。一年半ぶりだ。何年か前からキャンプは禁止になっているので、大っぴらにテントを張るわけにはいかない。リュックを下ろし、珈琲を淹れる。

湖畔で珈琲を飲みながら、しばらくボーっとしていた。少し風が出てきた。ゴアのカッパを上だけ羽織るとちょうどいい。まずは、夜の焚き火用に流木を集める。ここのところの晴天続きで、からからに乾いた流木がたくさん落ちている。


あちこち撮影しながら、南岸の散歩に出る。紅葉にはまださすがに早く、ウチハカエデがほんの少し色付いていただけだった。2時間ほど歩いて、帰る。もう何もすることもなく、持って行った本でも読もうと日のあたる湖畔に出る。何ページも行かないうちに、何だか眠くなってきてしまった。

何もしなくても良いし、いつ眠ってもいい・・・こんな時に訪れる甘い眠気のなんと幸せなことか。ゴロリと横になり、流木を枕にそのまま寝てしまった。

一時間ほど眠ったらしい。起きたら体が少し痛い。石ころの上に寝ていた訳だから仕方が無いが、それもでこんな場所で昼寝できたことに、なんだか嬉しくなる。



5時の最後のバスを待って、テントを張る。晩御飯の用意。持って来た米をコッヘルに入れて、おかゆにする。春に菖蒲が浜で米を炊いて失敗したので、最初からおかゆ。弱火でことこと、焦げないように時々かき回しながらバーナーに付きっ切りだ。こう、何もやることが無いと、ご飯を作ることも集中する時間で楽しい。缶詰とソーセージで晩御飯。


焚き火に火をつける。焚き付けは散歩のときにダケカンバの樹皮を取ってきたもの。あっという間に火がつく。これに勝る焚き付けはないな。最初は少し大きく燃やす。焚き火を眺めながら、今日三杯目の珈琲。なんとも至福の時間。





ポツリポツリと流木をくべながら時間が過ぎていく。ふと湖畔を見ると、木の陰から月の明かりが見える。今日は十四夜の月だ。幻想的な眺めにしばし呆然とする。何枚か写真を撮る。良いのが撮れたかもしれない。


早めにテントに入り、本の続きを読む。持って行ったウィスキーを飲まないうちにまた眠くなってきた。ライトを消してシュラフにくるまる。鹿の鳴き声が聞こえているなぁ・・・と、思っているうちに寝てしまった。